自分がフォントを制作しているときの作業内容をつぶさに観察していると、思わぬところに手数をかけていることが分かる。文字がきちんと字面枠の中心に入っているかどうか確認する回数が意外に多く、ここは省力化したい部分である。夕方、日本デザインセンターの色部さんと「1文字から1万文字までの話」の打ち合わせ。主題中心の構成で進めることを確認した。連句的な展開になったら面白い。
午前は漢字のブラッシュアップ、午後からマシンのセットアップ、そのあとフォントのラストチェック、声に出したらラップだYO!
水上勉の『一休』と『良寛』を読む。濃密な筆致の『一休』と淡白なタッチの『良寛』。読みごたえは圧倒的に前者。いずれも時代が生んだ日本屈指の怪僧/快僧である。夜はボリューム満点のビビンバを食べる。
ひもすがら春の雨ふる。おやつに大学芋とレモンティー。唐木順三『良寛』味読。「古を慕い今を感じ心曲を労す」良寛『読永平録』
漢字の研磨とトークイベントの準備。すこし変わった趣向の対談になりそうなので、双方のプレゼン内容が決まったら、顔を合わせてリハーサルしたほうがいいかもしれない。夜は自宅で好物のエビチリ。
フィットフォントの認知は思ったほど進んでいないようだが、ぼちぼち問い合わせが入ってきている。要望が一様でないため対応方法もまちまちで、話を整理してまとめるのがまず大変。デザインに入るまえの段階でこれだもの、日本でカスタムフォントが増えないわけだ。
『世界のブックデザイン2014-2015』展のメモ。日本、中国、オーストリアなど一部の国を除き、使用フォントのクレジットが戻り、欧文フォントの見分け能力が低い私にとっては非常に有り難い。本はすべて手にとって見ることができる。展示会は今月28日まで。入場無料。
以下括弧内は私の感想。併置したフォントは、同じ書籍内で本文と見出しの関係にあるもの。日本であまり認知されていないフォントにはリンクしておいた。ただし、書籍で使用されたフォントと完全に同一かどうかは保証のかぎりではない。
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◉カナダ(古典的なローマン体がとても多かった。Mrs.Eavesはあらためて見るとなかなかチャーミング)
Scala Sans
Arnhem
Quadraat
Rialto
Mrs.Eaves
◉ドイツ(やはりTriniteは良いフォント。AGで組んだ『just one chair』の図版選択が素晴らしかったので迷わず購入)
Miller
Apex
FF Nexus Mix
Adobe Garamond
Bulmer
Trinite
AG Book Pro R, M(アクチデンツ グロテスク)
Stanley
Greta Text
◉日本(毎年のことながら審査基準がよく分からない。『ふしぎなにじ』は、二年前の愛知芸大の卒展に並んだ作品)
『モーション シルエット』梶原恵、新島龍彦(世界でもっとも美しい本2015 銅賞)
『ふしぎなにじ かがみのえほん』わたなべちなつ(審査委員賞)
◉スイス(昔も今も堅牢なゴシックを選ぶ傾向が強い。紙の選択も含め手触り感が持ち味)
Helvetica Neue
Univers 55
Times LT
Arial Narrow
Monotype Grotesque Text
Unica, Gill Sans
◉オランダ(DTLのような地元タイプファウンドリーのフォントが選ばれているのとともに、書体選択が多様。これもひとつのお国柄だろう)
Hoefler Text
Filosofia
DTL Documenta
FF Meta
Stanley
Arial Narrow
Plantin
Atlas Grotesk
ITC Jonston
Rijksmuseum
DTL Antares, Trajan Pro
DTL Paradox, FF Quadraat
Fugue
ITC Franklin Gothic Condensed
Univers
Plain
Neue Helvetica
Caponi Slab
◉デンマーク(Commercial Typeをはじめ、Klim Type Foundry, Hoefler, Unger, Typothequeなど、小規模タイプファウンドリーの活躍がうれしい)
Caslon Pro
Indigo
Ideal Sans
Goethe Title
Swift
Lyon
Newzald
Bell MT, Gotham
ITC Galliard
Mercury
Calibre, Tiempos
Minion, Fedra Sans
Helvetica Neue
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以上、会場で本を手にとってフォントの種類とその効果をご覧ください。日本語フォントの今後を考える良い機会になると思います。
火曜朝の定例ミーティング。各プロジェクトを粛々と進める。ツールの進捗を確認するため、稼働しているところを見せてもらう。各段階を踏んで、実用から応用へと向かいたい。漢字の品質向上作業と原稿草案のチェックなど。
新規案件が一歩前進。中規模の発注は経営面でこころづよい。終日ひきこもって漢字と仮名のブラッシュアップ。組版サンプルを随時作成して、仕上がり具合を確認する。
息子が修学旅行のおみやげで買ってきてくれた沖縄そばを食べる。妻が前日に仕込んでおいた特大のソーキ肉を投入し、ゴージャスな昼食となった。食後に沖縄みやげの紫芋タルト。きょうはちょっとした沖縄フェアである。外は23度を超える気温で、きのうから生暖かい風が吹きすさんでいる。
ちびた筆ごときかしらを春嵐 茶門