全漢字を対象に熟語シートへの赤入れをおこなう。これまでより一段ハードルを上げて品質を磨いていく。ウエイトのばらつきによって生じる凹凸感をなくすための大事な工程。
座学の必修授業で過半数の学生が熱心に講義を聴くだけでも感心するが、自分の言葉で書かれたレポートと真剣に取り組んだ演習の成果が毎週上がってくることに驚いている。これほど学習意欲が旺盛なクラスは初めてかもしれない。
5時起床。貴重書を3冊選んで武蔵美に持っていく。連続講義はきょうが最後。何か糧になるものがひとつでも残ることを祈りつつレクチャーをおこなう。夕食前に枝豆でビールを一杯。昼は35度近くまで気温が上がったが、夜は涼しい風が吹いて心地よい。
ドイツ各地域からのアクセスが昨晩から今日にかけて急増している。特定のページではなく広範に読まれている模様。エンジニアから開発ツールに関する相談あり。多岐にわたって意見を交換する。制作する書体に適した方法を複数の選択肢から選べたら理想的。
純明朝の開発過程について担当デザイナーから追加で質問があり、当時の記憶を手繰り寄せつつ応答する。聞かれて話し出すと芋蔓式に色々なことが思い出される。夕食のあと自家製ずんだ餅のあんこのせ。
午後から多摩美で文字の授業。テーマは文明と文字について。消滅した文明の話など少し重めのトピックをあつかう。演習は文字の彫りと刷り。苦心しながらも熱心に取り組んでいる様子。
漢字熟語シートに赤入れをして担当デザイナーに戻す。この書体は、ウエイトを整えて磨くほど輝きが増しそう。試用期間が終わりに近づいた社員と面談をおこなう。今後の成長と活躍に期待したい。
金シャチフォント殿を見て「可愛い」と反応した人がけっこういる。マッチョ系の書体だと思っていたのでちょっとびっくりした。AXIS Fontをリリースしたときも可愛いという声が寄せられたのだが、そのときは不本意に感じたことを覚えている。いまはどうかといえば、本意ではないにしてもうれしい気持ちのほうがまさっている。
文字授業のレポートと演習の採点をおこなう。講義で私の説明が不十分だった点は、容赦なくレポート内で指摘される。今回の場合は記号とシンボルと文字の違いについて。たしかに便宜的な解説にとどまったことは否めない。記号とシンボルと文字の違いを明確に述べるのはかなりむずかしい。
武蔵美のタイプフェイス授業も残り4回。再来週は授業発表会、その次の週はオープンキャンパス会場での講評会。きょうは進捗確認のあと個別アドバイスをおこない、制作の糧になりそうなレクチャーを2つやっておく。