新しい書体をつくりはじめると、つくる過程のなかで新しい気づきを得ることが多い。今まで通りではない書体のむずかしさは、小さな発見の喜びによって報われる。その発見は、ときに書体設計の原理的な部分に触れることもあり、私が書体制作の現場から離れられない理由のひとつになっている。
作成者別アーカイブ: tp
スキージャンプの伊藤有希選手の言葉
サンデースポーツの特集で取り上げられていたスキージャンプの伊藤有希選手の言葉がとても良かった。「ゆっくり手に入れたものって、はなれていくのもゆっくりだと思う」
高岡重藏先生の思い出の会
印刷博物館で「世界のブックデザイン2016-17」を観る。 今回の特別展示は、21世紀チェコのブックデザインでこちらも見ごたえあり。15時から二階の小石川テラスにて「高岡重藏先生の思い出の会」。3年ぶり5年ぶりの友人におおぜい会えたし、なんといっても発起人の方々のスピーチがよかった。
みうらじゅん&いとうせいこうの「ザ・スライドショー14」を横浜体育館で観覧
東京積雪。昼すぎまで降る。漢字制作を半日。仕事を早く上がって横浜へ。中華街で家族と食事をしたあと、みうらじゅん&いとうせいこうの「ザ・スライドショー14」を横浜体育館で観覧。
『TPスカイ開発ストーリー』の1回目をアップ
『TPスカイ開発ストーリー』の1回目をアップ。後日ブログから別のページに引越す可能性があるので、日記は日記として書いておくことにする。とくに書いておくこともないのだけど。
『TPスカイ開発ストーリー』第1回「フォントの開発背景と意図」
『TPスカイ開発ストーリー』第1回「フォントの開発背景と意図」
■まえがき
TPスカイをリリースしてまもなく1年になります。認知・普及はまだこれからですが、これを機にフォントの開発背景と意図、そして書体デザインについて少し踏み込んだ解説をおこなうことにしました。
日本語フォントは、標準的な文字セットでも約1万字が必要で、制作開始から完成までにおよそ3年ほどかかります。TPスカイは、書体ファミリーが大きい上に紆余曲折あり、最後に品質を磨く工程に時間をかけたため、完成までに12年を要しました。なぜ品質向上に力を注いだのかは、この連載で明らかにするつもりです(全6回)。

TPスカイの「すっきり感」がきわだつハイコントラストのEL
■次世代フォントを考える
TPスカイの原型にあたるフォントの開発概要を社内で発表したのは2006年のことです。ちょうどAXISコンデンスのデザインが終わったころでした。印刷用のフォントが充実する一方で、業界全体を見わたしても表示用フォントへの取り組みが手薄なままだったので、これはなんとかしなければと感じていました。
さいきん広告の見出しやサインシステムで使われる機会が増えてきたAXISコンデンスも、想定していた用途は、小さな画面にたくさんの文字を表示することでした。読みやすさを損ねないよう、漢字の字幅は仮名より広めに設定してあります。

TPスカイに話を戻します。タイププロジェクトの内部で発表したTPスカイの提案書の書き出しは次の通りです。
次世代フォントのあり方:背景
1. スクリーン上で見る・読む文字情報の増加
2. 多種多様なデバイス、ディスプレイの登場
3. 機能性と品質に対する高いレベルでの要求
オーソドックスな時代認識だと思いますが、この提案をおこなった10年後の今も、表示を前提としたフォントの開発が立ち遅れている状況は変わっていません。AXIS Fontは、もともと紙媒体がターゲットでしたので、画面表示用のフォントに正面から取り組まなければと考えて、意気込んでつくった提案書です。

上の資料は、2007年に制作したTPスカイのプロトタイプです。写真中央に見える「TSフォント」の文字は、TPスカイの開発名です。TSは「Tapered Sans serif」の略で、書体の様式を指す「先細のサンセリフ」をコードネームにしました。ストロークの抑揚は、TPスカイのアイデンティティでもあります。
AXIS FontとTPスカイは、日本語フォントのファミリー概念を拡張するとともに、日本語サンセリフ書体の可能性を示すという意思によって貫かれています。
■TPスカイとTP明朝
2014年にリリースしたTP明朝は、TPスカイと同じくスクリーン適性の向上を課題に、横組みに特化してデザインした明朝体です。TP明朝に着手した2010年あたりは、ちょうどスクリーンにおける日本語タイポグラフィのあり方を見直す機運が高まっていたころで、TP明朝のプロトタイプを発表したのも「オンスクリーン・タイポグラフィを考える」のセミナーでした。
そのときの発表で、TP明朝の「コントラスト」という概念に想像以上に大きな期待が集まり、開発を本格化することにしたのです。
TP明朝のデザイン方針を固めたあと、若手チームに漢字の制作を任せ、私はTPスカイの開発を続行することにしました。コントラストの軸は、オンスクリーンで横画がとびやすい明朝体の問題や、横画が太くて漢字がつぶれがちなゴシック体の欠点を補完する機能があります。
TP明朝とTPスカイは、画面表示用のフォントとして有意なコントラスト軸を、日本語フォントのファミリーに明確に位置づけることを意図しました。

画面表示に適したフォントに必要な条件を次のように設定しました。これは先に掲げた「次世代フォントのあり方」の1から3にそれぞれ対応しています。
1. 明瞭性(視認性の高い文字デザイン)
2. 柔軟性(多様な状況に適応できるファミリー)
3. 簡潔性(制御点の少なさ=フォントサイズの軽さ=表示の速さ)
いずれの項目も、文字情報を取得する際の「認知負荷の軽減」を目標にしています。スクリーン上の文字を読む時間が増加している現代社会において、文字情報の認知負荷を減らすことは喫緊の課題です。
TPスカイは、画線の太さと文字の内部空間とのバランスを追求することで明瞭性を確保し、アンカーポイントとハンドルの数を最小限に抑えることで表示速度の最大化を目ざしました。
簡素で滑らかなストローク表現を持ち味とするベジェ曲線の長所を活かし、スクリーンに適した文字を提供する。これらの方針は、タイププロジェクトのフォントに共通する基本スタンスです。

TPスカイのミドルコントラスト L。書体ファミリーのコンセプトは「澄みわたる空」
『TPスカイ開発ストーリー』の1回目は、フォントの開発背景と意図について概説しました。次回は、フォント開発のきっかけとモチベーションについて書く予定です。
第2回へ
どの漢字群から着手すれば効果的に進められるか検討
ひとつ作業を終えて次の作業の準備。制作対象となるすべての漢字を出力し、どの漢字群から着手すれば効果的に進められるか検討する。午後から制作を開始し、感触をたしかめる。
おとつい届いた『The Anatomy of Type』を一読
おとつい届いた『The Anatomy of Type』を一読。本の主旨が明快で、対象100フォントの選び方にも偏りがない。しかし海外から発送してもらう本は扱いが雑で困る。
日経新聞「私見卓見」にコーポレートフォントについて書いた文章が掲載
本日の日経新聞「私見卓見」にコーポレートフォントについて書いた文章が掲載された。新聞コラムの記事掲載は初めてだ。別件で書いているテキストの最終調整をおこなう。文章の熱量をすこし上げて、図版もひとつ追加作成した。
栃ノ心は今場所の大相撲を支えた立役者でもあり、殊勲賞と技能賞の二賞
きのう優勝を決めた栃ノ心は、力強い相撲で遠藤を下し14勝1敗で千秋楽を終えた。栃ノ心は今場所の大相撲を支えた立役者でもあり、殊勲賞と技能賞の二賞では足りないくらい。